コロナ明けの外国人材への日本語教育の必要性

緊急事態宣言が解除され約1年半ぶりにコロナから解放されて街も賑わってきています。しかし全ての問題が解決したわけではありません。コロナ以前から問題視されていたあらゆる業界で起こっている人手不足の問題も、コロナ以上に深刻な問題と考えます。

   日本を待ち受ける状況

現在、地球上の人口は約77億人。これが約30年後には100億人になると予測されています。

しかし、その動きに反して日本では現在約1億2000万人の人口が30年後には9900万人になると予測されています。しかも2.5人に1人が65歳以上と言うなんとも恐ろしい状況が待ち受けています。これは他の諸外国にも前例がなく、かつ予測よりも早いスピードで進行していることを理解しなければなりません。

簡潔にいえば、働き手がいなくなるばかりではなく消費者(企業にとってはターゲットとなる人物)までもがいなくなることが想定されます。今現在この状況を視野に入れておかなければ、 明るい未来はないということです。

あらゆる業種が国内需要だけではなく海外需要も視野に入れた展開を今からコツコツと仕込んでいかなければ、企業にとって生き残る可能性はかなり低いと考えます。特に日本はこれまで国内需要だけで成り立つビジネスが多く、いざ海外展開を目指そうと視野を入れた時にスムーズに事が運ばないことが容易に想定できます。

ですが、実はチャンスは目の前に広がっています。

日本では、外国人材を雇用する企業が年々増えてきています。令和元年は、24.2万社だったのが、令和3年には26.7万社。労働者数も165万人から174万人となっています。なかでも日本で最も多く働く外国人材は、いまや41.9万人の中国を抜き、44.3万人のベトナムが一位となっています。(出入国在留管理庁調べ)

ただ、残念なのは多くの企業が、その外国人材を生かしきれていない、もしくは目の前のさらなるチャンスに気づいていないことです。

 

   選択が広がった就労資格

例えば「技能実習制度」や「特定技能の就労資格」。

技能実習制度とは、表向きは主に発展途上国の人材に対して、日本で技術を学んで、その技術を母国に持ち帰って、母国の発展に寄与するために国同士が決めた制度ですが、実際は、人手不足を補うための労働力確保の手段の一つになってしまっています。

特定技能とは、特定の14業種に限り、外国人材を単純労働に就かせることができる就労資格です。現段階での立ち位置としては、高度人材に次ぐ資格というよりも技能実習制度の延長としての意味合いが強い印象です。

そもそも日本で働く外国人材は学歴に紐付いた職業でしか従事することができず、外国人材には単純労働をすることが認められないという前提があるのですが、その中で技能実習制度に関しては、3年または5年の期間限定の労働者として扱われ、自社内でのキャリアアップなどは求められてこなかったという背景があります。 

しかしこれからはどんどん縮小していく国内での市場規模、減少していく生産労働人口、そして技能実習から特定技能へ長く日本で働ける制度がある中で、技能実習生や特定技能たちを単なる期間限定の労働者として扱うだけではない時代に入ってきています。 業種職種によっては技能実習生を引き続き特定技能として受け入れることも可能で、さらに建設などの業種によっては特定技能から高度人材として、日本人と同じように本人・企業が望むならいつまでも雇用することができるようになっています。

つまり短期間限定の労働者ではなく、8年や10年、それ以上の期間にわたって雇用し続けることが可能になります。 同時に外国人材にとっても将来の選択肢が増えることになります。 

ここで大切なのは、中長期で雇用できる法整備が整いつつある中で、雇用社側も中長期で雇用するマインド・体制作りが必須となってくることです。

 

   今後の外国人雇用に必要なマインド

単なる「労働者」ではなく、これからは「チームメイト」として受け入れるマインド・体制が必要です。彼ら彼女たちを教育することで、社内のマネジメント層へ育成する、あるいは仮に母国に帰ったとしても将来のビジネスパートナーとなるといったビジネスの可能性が広がることに繋がります。

現在ベトナムには進出している日系企業が約1700社あると言われます。ですがベトナムはまだまだ発展していく可能性を秘めており、これからもその勢いは当分は続くと言われています。その中でまだまだ日本企業が進出するチャンスはあると考えます。また進出の際には現地で必ずビジネスパートナーが必要です 。

そのビジネスパートナーを一から探すのではなく、今は片言の日本語だけど勇気を出して日本に働きに来ている彼ら彼女たちを育て上げ、関係性を構築することが、仮に母国へ帰ったとしても、今後のビジネスパートナーとして海外展開を容易にするのではないでしょうか?

自社を良く知る良き理解者がビジネスパートナーになることは、この上なく心強くまた頼もしい存在となります。

ビジネスチャンスは、すぐそばに広がっているかもしれません。ましてや今ベトナム人材を雇用している企業はビジネスが最も広がりやすいポジションにいるのかもしれません。 それにいち早く気づき、対応していくことが先手必勝といえるのではないでしょうか?

 

   コロナ明け後に入国してくる人材

コロナ禍の中では、日本と同様に海外でも様々な規制があり思うようにビジネスが進んでいません。しかも技能実習生を養成する送り出し機関と言われる機関は、人材を輩出できないため、いつ出国できるかもわからない人材をいつまでも抱えることもできません。当然、実習生予備軍である研修生たちも自分たちの日々の生活があるため自国内で働かざるを得ない状況が続いています。

当然、日本語教育は手付かずのままですので、短期間で習得した日本語は短期間で忘れてしまいます。

つまり例年より日本語力が低い人材が入国してくる可能性は非常に高くなります。もちろん入国後1ヶ月間の日本語講習はありますが、そもそも1ヶ月で日本語がわかるようになるという理屈は無理があります。

また、日本語力とは別に大きな問題も潜んでいます。コロナ明け後、人手不足が顕著になればなるほど安易に「特定技能」に手を出してしまう風潮が出てくるかもしれません。雇用する側もされる側も、また取り次ぐ企業・団体も全てがメリット・デメリットを共有・理解できていればいいのですが、正しい認識・理解がないままに進めてミスマッチを誘発する機会が増えるのではないかと思います。

コロナ禍の中でも日本に関する情報(悪い会社・いい会社・特定技能の制度そのものなど)も浸透しつつありますが、待遇面だけが先行して重んじられていたり、まだまだ情報不足だと感じます。特に「特定技能」に関しては、「転職」ができる一面だけが焦点を当てられている感もあります。雇用を検討する企業側からすれば、能力は低いのに権利ばかりを主張されるのはたまったものではありません。対応策としては、働く就労資格がどういったものであるのかを外国人材・雇用主の双方がしっかりと認識・理解することが大切です。採用のミスマッチを減らすための工夫はこちらをご覧ください。https://bit.ly/3w4ZSUp

 

   雇用後の対応策

技能実習であれ、特定技能であれ、「技術・人文知識・国際業務」などの高度人材であっても、日本で働いて生活していくには日本語での会話力アップは必須命題です。また同時に雇用社側もお互いのコミュニケーションが発生する仕組みを取り入れなければ、早期離職の不安から解消されないと考えます。早期離職・失踪などのきっかけのほとんどは、日本人とのコミュニケーションロスが引き金となっています。これは外国人に限らず日本人でも同じですよね。

そこでまずは会話ができるようになることです。同じ3年間日本で働いていたと言っても、作業員として労働者扱いしているだけの会社で働いている外国人材は残念ながら、日本語で会話できない方がほとんどです。そこでご提案したいのは、コロナ後の外国人材は「仕事以外の共有ごと」として日本語教育を会社として習慣化することをオススメします。

ここでよくある間違ったパターンをいくつかご紹介します。

・週に一度、近くのボランティア教室に通わせている

企業としても費用がかからず日本語も上達するので一石二鳥と思っていると大間違いです。週に一度英会話教室に通って、英語が話せるようになった人はいません。

・教材を提供するだけになっている

これは、雇用している外国人が会話ができない最も多いパターンかと思われます。勉強教材を提供するだけで、あとはほったらかしといった状況や、そもそも提供しているものが、試験に受かるための「勉強」教材だったりするケースです。「読み書き」の勉強は1人で完結し、試験の合否といった明確な物差しがあるため、提供する側も勉強する側も目的意識が芽生え、一見すると充実感に満たされます。しかし、ほぼ無意味なことだと思い知ることになります。会話は1人でするものではありません。どんどん積極的に関われば関わるほど、みるみる上達します。教材を提供する雇用社もおそらく最初の目的は、会話ができるようにと勉強教材を提供したにもかかわらず、いつしか目的が「試験合格」にすり替わってしまっているパターンです。

・そもそも会話力習得に必要なことが何なのか雇用社が理解できていない

日本人自体が外国語が話せる人が少なく、どうしても「勉強」から入ろうとします。経験がないので仕方がありませんと言いたいところですが、実は日本人が一番苦労もしているし、やらなければいけないことを理解しているはずなのです。

例えば、中学生から大学受験まで必死になってやってきた「英語」の勉強。文法や単語を覚えて、テストでもいい点を獲得してきたのに、「話せない」「聞き取れない」。自分たちがやってきたことでは会話力は培われないと理解しているにも関わらず、平気で勉強教材を提供してしまっていたりします。会話に必要なのは「耳」と「口」の機能ですが、「読み書き」重視の教育から離れられず、いつまで経っても「手」と「目」を鍛えることばかりになりがちです(例えば、検定試験の合格など)。鍛えるところを間違っていては、いつまで経っても成長は見込めません。

 

以上がよくある間違ったパターンになるのですが、会話力アップに必要な要素はこちらになります。

・習慣化された本人の努力(毎日の耳と口を使った発声トレーニング)

まわりが日本語で話してほしいと思っても、当然ですが、本人が努力しなければ何も始まりません。そして日頃から耳と口を鍛えなければ、言葉は出てこないし、聞き取ることも難しくなります。

トレーニングしている参考動画 https://youtu.be/aqhJDziMv48

・行き詰まった際のプロによるレクチャー

文法を少しでもかじってしまうと、どうしても理解したくなるのが人のサガです。このような時に的確なアドバイスや詳細を教えてくれる教師がいることは理解促進につながります。

・毎日話さざるを得ない状況

これがないと会話力はアップしません。間違ってもいいから毎日日本語で話さなければいけない状況は人を成長させます。毎日発声トレーニングをしていたとしても実践の場がなければ、決まりきった定型文を話すことから抜け出せないのです。野球で言えば、素振りの練習ばかりやって実際のボールを打たないのと同じです。社内で日本語で会話する機会を習慣化するのは、非常に効果的です。

上記の3つのどれかが欠けると、会話力アップのスピードは鈍化します。

 

そもそもの目的は、みなさん自身と会話ができることのはずです。そのみなさんと会話せずに会話力を求めるのは矛盾際まりないですよね。ですが、日本人は「勉強」の感覚が根付いてしまっているためか、知らず知らずのうちに提供するだけで、無意識のうちに関わりを持たないようになる傾向が強いです。ここが「勉強」と「会話」の大きく異なる点です。先述したことと重複しますが、「勉強」は1人でできる。でも「会話」は1人ではできません。その「会話力」を向上させるのは、他ならぬ雇用社自身の関わり度合いなのです。

企業にとって、外国人材に求めているものは何なのか?必要な教育は何なのか?など見直すいいきっかけになれば幸いです。

衰退していく日本。その日本に魅力を持って働きに来てくれる外国人材。コロナ明けの外国人雇用は、コロナ前よりも広く明るい視野で繰り広げられることを切に願っています。

最後に、みなさんは雇用しようとする外国人材に何を求めていますか?

 


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