外国人雇用について最低限知っていなければいけないこと

1 職務を明確にする

外国人従業員の労務管理上で注意すべき点としては、日本人は協調性を重んじ思いやりや和の精神が美徳とされ企業への帰属意識も高いと言われ、それに対して欧米諸国では個人主義的な傾向が強い社会のため、職務上でも様々な領域で誤解が生じる点です。

例えば、部署としての意見を尊重する日本人とはっきりと自分の意見を伝える外国人とのコミュニケーションの取り方で、大きな違いがあります。日本人が外国人に配慮しながら説明すると逆に何を言いたいのか理解されず曖昧な表現になってしまいます。これを避けるためには具体的に「誰が」「何を」「どのような方法で」「何時までに」と言った具体的で明確な指示をすることが大切です。 

雇用契約書でも職務内容を明確に記載する必要があります。役割分担がはっきりしている外国人にとって、労働条件通知書のような契約書に記載されていない職務は原則として行わないため外国人従業員の職務内容に変更が生じた場合は変更の経緯やその必要性などの説明を十分にし、その同意を得る必要があります。そのため外、国人を雇用して新たな事業を開始する場合には、よりその事業計画の内容・継続性を吟味し慎重に進めなくてはいけません。そのためにも文化的な背景による考え方の違いを理解することで、双方の誤解を避け、職務という概念を明確にすることが可能となります。

<外国人への伝え方の工夫>

・具体的に表現する (曖昧な表現は使わない)

曖昧な表現とは「 できるだけ」「なるべく」「ちゃんと」「 どちらかと言うと」「多分」「割と」などあげればきりがないぐらい日本語は曖昧な表現が多いです。これらの表現は、発する人の感情が入りがちなので、外国人には理解しにくい表現となります。 

・数字を使って表現

数値化する。

・全体像を共有

業務全体の枠組み・背景・目的を認識させる。

・流れを一つ一つ細かく分解する

全体像の中での担当する業務の役割・必要性を理解させる。

・図解する

口頭だけではなく、目からの情報も伝えることで理解度を向上させます。例えばホワイトボードやノートを使って伝えます。

・理解したかどうか確認する

日本人も英語で話しかけられた時、多少分からなくても聞き取れた単語を頼りにイエスや OK と返事をしてしまいがちです。外国人も同様です。自分から分かりませんとは言わないです。説明したら必ず、「わかりましたか?」と聞いてください。 分かったという場合は、本人から理解できたかどうか確認するために説明をさせてください。 

・大きな目標と小さな目標を設定する 

・カタカナは極力使わない

カタカナは日本人にしか伝わらないという認識の方がいいかもしれません。技能実習生など日本語力が低い方達にはひらがなの方が伝わります。

・ジェスチャーを積極的に取り入れる

(言葉で伝わりにくい場合は、ジェスチャーも有効的です。笑顔は忘れずに。)

 

2 文化の違いを意識する

外国人従業員を採用する上で最も重要なことは相手の文化や考え方には違いがある前提を認識し、それを受け入れることです。その外国人従業員が日本にどのくらいの期間滞在していたか、つまり日本の社会生活にどの程度慣れているかによって異なりますが、国が違えば文化や習慣それに考え方も異なるのは当然です。逆に言うと外国人雇用で大きな障壁となるのは日本人独特の「空気を読む」「言わなくてもわかってほしい」という曖昧な感覚が通用しない点です。この違いを前提に雇用企業は受け入れ体制をしっかりと準備しなければなりません。以下は、外国人雇用の際に特に注意したい雇用企業が知らず知らずのうちに犯しがちな事項となります。

1飲み会の強要

コンプライアンスの問題上、最近では減っているのかもしれませんが、飲み会の席で無理やり飲み物食べ物を進めることです。 強要するのはもってのほかですが、親しみを込めてする場合は特に注意が必要です。国籍によっては宗教上食べれないものなどももちろんあります。ほとんどの日本人では気づきにくい宗教上の問題が関わってくる場合もあるため注意が必要です。外国人を雇用する際には、企業としての対応方法を明確にし、関連部署だけではなく全員に徹底させる必要があります。 母国ではどうしていたのかなど、日本流を押し付けるだけではなく、これまで経験してこなかった海外流の考え方・取り組み方を取り入れる姿勢が大切だと考えます。

2 気付きにくい「言葉」の前提

外国人も日本人もお互い知っている同じ言葉でも、認識する前提が異なるとスタートラインが異なります。例えば「打ち合わせ」。日本人なら決められた時間に始まるのが大前提ですが、人によっては、内容を重視し、時間は軽視している場合もあります。極端にいえば、打ち合わせができればいいという認識の方もいるかもしれません。

国籍・文化・育った環境など違う点などはあって当たり前です。その中で最初から外国人が日本人と同様の行動をするのは難しいです。 どんな行動でも外国人に悪気があるわけではなく、母国ではスタンダードな行動かもしれませんので一概に怒って矯正するのは避けた方が賢明です。全ての物事行動には理由があります。まずはその背景を理解することから始まります。そして、順序立てて、日本の習慣を丁寧に理解・説明することが近道だと考えます。

3母国の祝祭

日本のカレンダーは世界共通ではありません。 もちろん正月は日本では1月になりますが国によっては異なります。外国人は日本人より家族と過ごす時間を重んじます。国籍によって母国へ帰国する制度を導入してみてもいいかもしれません。日本人が正月休みをしている間、外国人は日本では意外と暇な時間を過ごしてたりします。こちらは雇用の前に面接などで確認をしておくことをお勧めします。 

4 食生活

1でも少し触れましたが、国籍によって食生活は大きく異なります。 仕事をする上で、食事を通じてのコミュニケーションは非常に大切です。日本ではベジタリアンやムスリム、ヴィーガンなど対応する店がまだまだ少ないです。 また意識している人もまだまだ少ないです。 外国人に合わせた食生活に歩み寄るコミュニケーションも工夫を凝らしましょう。 

5 外国人同士のコミュニケーション

近年外国人雇用が活発になると同時に、この問題も重視しなければなりません。大きな問題ではなく小さなコミュニケーション齟齬が定着率の低下や離職につながるきっかけとなります。国籍が異なり、双方とも日本語での会話力が低い場合は、共通言語だけではなく、共通理解もないことが引き金となります。こういった問題は実は管理者の日本人がコミュニケーションができない場合に見られます。 外国人への伝え方を工夫して、コミュニケーションの頻度を高めることが近道です。同時に外国人従業員の日本語での会話力を高めることも必須となります。

 

3不法滞在について

1雇用した外国人従業員が不法滞在であったことが判明した場合、または雇用中に在留期間の更新などを忘れて不法滞在となった場合、雇用企業がその外国人従業員を解雇できるかが問題となることがあります。

まず一つ目は、雇用前に履歴書やパスポートなどを確認して問題ないと判断したにもかかわらずその後本人が提出した資料が虚偽のものであると判明した場合。この場合、採用時の経歴詐称が解雇の対象として就業規則などに列挙されていれば、解雇として労働基準監督署の認定を受ける方法により対処は可能です。

二つ目は、雇用主が採用前に不法滞在者であることを把握しながら雇用した場合です。こちらは入管法での不法就労に該当しますが、雇用関係が成立しているため労働基準法及び当該事業の就業規則に照らし合わせて解雇を取り扱わなければなりません。 つまり労働基準法により30日前の解雇予告または30日分以上の平均賃金の支払い義務が生じます。

また、在留期間の更新を忘れて不法滞在となった場合にも不法就労となるため解雇問題が発生します。まずはこのような事態が起きないよう雇用企業側でも在留期間満了日をチェックし申請を怠ることのないように本人に注意しなければなりません。 申請には代表者印の押印が必要となり、また申請を受理するには出入国在留管理局で1日かかることを想定しなければならないので申請のための有給休暇や、勤務時間の配慮なども必要となります。

 

2不法滞在であるかどうかにかかわらず、外国人労働者にも労働基準法が適用されるため外国人も民事及び労働監督行政上の保護を受けられるような様々な措置がとられています。例えば、時間外労働などの割増賃金文を含む賃金未払などがある場合には、企業が後の賃金支払い交渉や裁判などの手続きに必要な期間内は、労働基準監督署から不法滞在の事実を出入国在留管理庁へ通報しないという扱いがあります。ただし実際には、少なくとも労働災害の事実関係の聞き取り調査が終わるまでの間は通報を差し控えるというのが通例のようであり、その事実調査が終わると出入国在留管理庁へ通報されることもあるようです。

肝心な労災保険に関しては、当該不法就労者が本国に帰国後、海外に送金することで支給されます。また出入国在留管理庁においても、不法滞在の外国人が賃金未払の状況にあるときは、仮に不法滞在で収容していても紛争が解決するまでは日本に滞在できるよう強制送還の手続きを見合わせているケースもあります。

 

 

トラブルの発端はお互いのコミュニケーション不足からはじまります。

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