外国人スタッフとの会話における8つの秘訣(伝える側編)

以前、「外国人雇用企業に知っておいてほしい大切な10箇条」でもお伝えしましたが、業務に携わるだけでは日本語会話力はアップしません。だからと言って、彼ら彼女たちの成長を待つだけでは業務が進みません。

ここでは、聞き取る能力・伝える能力がまだまだ成長段階の中、いかにしてコミュニケーション齟齬を減らし、効率的に伝えるべきか参考にしてほしい8つの秘訣をピックアップします。

 

  <1「業務での会話」と「雑談」を明確に分けましょう>

冒頭でも申し上げましたが、業務に携わるだけでは日本語会話力は向上しません。ところが、雑談は日本語会話力を鍛える要素がたくさん含まれています。業務で必要な日本人とのコミュニケーション力は、一見すると「業務での会話」で使う単語を覚えさせたりするのが近道と思われるのですが、実は逆なのです。雑談で感じ取れるリラックスした中での会話は、会話のテンポ・リズム・抑揚・それぞれが持つ口癖などが学べる最適な場なのです。

しかし、業務の中で雑談が入り混じるとメリハリがなくなり、またそれを見ている他者にもいい影響を与えない傾向が高いため、仕事とは別で「雑談」できる場を設けるなど工夫しましょう。

 

  <2 一文を短くしましょう!>

みなさんのまわりで話だけ長くて、結局何が言いたいのかわからない人っていませんか? 外国人のN1やN2保持者でも伝えたいことが多いあまり、結局何が言いたいのかよくわからない状況に陥りがちになります。ちなみにこれは高度人材によくある傾向です。

また、日本人同士で人に依頼するときは丁寧に伝えますよね。ところが、日本語が伝わりにくい外国人にとっては、丁寧すぎると文章が長くなってしまうので逆にわかりにくくなってしまいます。一区切りづつ短い文章にして伝えるのが効果的です。

日頃から短く簡潔に伝えていると、「一文一文短く区切って伝えても伝わるんだよ」ということが、自然と外国人にも伝わります。また会話力の基礎の基礎である「話すこと」がしやすい環境になってきます。短く簡潔に伝えましょう!

 

  <3 ジェスチャーを交えましょう!>

極端に言えば、会話ができなくてもジェスチャーだけでその場を対応できることもあります。ジェスチャーを交えながら会話をすることで内容・温度感・感情がより伝わり安くなります。 一般的におとなしいと言われる日本人は、オーバーリアクションがいいかもしれませんね。

 

  <4 ホワイトボードなどを活用しましょう!>

「100,000」って英語でどう言いますか?パッと出てこないですよね。外国人も全く同じです。ですが、見たらすぐにわかりますよね。特に数字に関しては、口頭だけでなく(紙やホワイトボードなどを使って)目から得られる情報を用意しながら会話をすることをおすすめします。

会話の中で数字を使っても、日頃から発声トレーニングをしていないと聞き取ることはほぼ無理です(自分で発話できない言葉は耳が聞き取ることができません)。発声トレーニングなどの勉強方法としては徹底的に耳と口を鍛えるのが最良の方法ですが、仕事の現場での伝え方は耳からの情報だけではなく目からも理解できるよう最良の方法を工夫しましょう。 

 

  <5 語尾は単純明快にしましょう!>

日本語の多くの表現は、「〜します、〜しません」など語尾次第で全ての意味が変わってきます。日頃、聞き取るトレーニングをしていない外国人材にとって、語尾をはっきり伝えない表現方法は、真逆の意味で認識される可能性もあります。

また、「〜できないことはない」など二重で否定する表現などは「〜できる」などに置き換えないといけません。おそらく、ぺこぱの漫才の面白さは外国人には全く伝わっていない。かもしれません。

 

  <6 オノマトペに注意しましょう>

もしかしたら外国人にはオノマトペを極力使わない方がいいとおっしゃる方がいるかもしれません。しかし私の考えは逆です。なぜなら日本人は状況や様子を簡潔に説明しようとすればするほどオノマトペを多用します。オノマトペというのは「サッとやる」「ドキドキする」「チクチクする」といったような音や様子を言葉にしたものです。日本語のオノマトペは4000種類以上あるとも言われており、これは外国人からすれば単に知らない単語になるため、覚えるのに一苦労します。しかし、オノマトペはリズムがあり、そばにいる日本人が毎日口ずさむことで覚えやすくなります。

中途半端に使って、意味も教えないのは最もダメなパターンです。オノマトペを教えると、病気や怪我になった時に状況を説明しやすくなるなど、日本で暮らす上で多くのメリットを生み出します。大切なことは、その都度楽しく教えてあげること。そしてしつこく毎日使うことです。使わないなら使わない。使うなら徹底的に使いましょう!

 

  <7 理由と目的を伝えましょう>

日本人同士でも指示や説明を受ける際、何が目的なのか知りたいですよね。外国人でも全く同じです。日本人同士でも常日頃から意識せずともされているかと思いますが、言葉が伝わりにくい外国人には詳細まで教えるのが億劫になって意外と疎かにしがちになります。

そうなると、単に作業だけをすることになり、やる気も削がれ先回りできた対応ができず、指示待ち人間になってしまいます。
理解を深めるためには必ず「理由と目的」も合わせて伝えましょう。

 

  <8 大事なことは3回は説明しましょう!>

日本語での会話力が低い外国人材は、聞き取る行為で精一杯です。聞き取れたうえで、理解までにいたるには、一回ではなく複数回にわたって伝えることが必要です。それでも半分も理解できていたらいい方です。

理解ができたかどうか確認するには、本人に復唱してもらうことをおすすめします。

 

もうすでに実践しているよ!という企業・団体もあると思います。同時に仕事の現場は忙しいので、いちいち構ってあげられないといった現場も多いのも事実です。しかし、今後の日本での外国人雇用は、短期労働者として受け入れる姿勢では到底長続きはしません。これからは日本人を雇用して事業を発展させること、そして国内市場だけでの成長は大きく見込めません。今、勇気を出して来日してくる外国人材をうまくマネジメントして事業を発展させることが、5年後、10年後を見据えた大きな可能性につながると考えます。

以上が外国人を初めて雇用する企業も、慣れてきた企業も、意外と疎かにしがちな項目になります。社内を筋肉質にする一助になれば幸いです。

 

 

こちらは、日本語教育を導入しようと検討する際、考え方や目的に対する教育基準の選定方法などをまとめたe-bookになります。参考にしてみてください。

 


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