技能実習生であれ、特定技能であれ、技術・人文知識・国際業務であれ、在留資格の違いがあっても「認識」と「意識」の共有が不可欠です。育ってきた環境・文化・背景が異なるため、日本人が当たり前と考えていることは一切通用しないことが前提になります。
特に今後増加が見込まれる「特定技能」外国人材の採用について、日本で働く目的が不明瞭なケースが多いことが想定されるため十分に注意が必要と感じていいます。
以下の項目に注意すれば、採用後大きなトラブルは未然に防ぐことができると考えます。
また、認識と意識の共有を図るために、入社後も定期的に確認することが大切です。
日本で働く前提
マナー(生活、社会人として)など、どのくらい関心を持っているのかいくつか質問を用意しておくのをお勧めします。日本で生きていく上で何が大切なのかを聞くことで、その人材が何を軸として考えているのか掴めるきっかけになるかもしれません。
会社の考え方
すでに日本に在住していたり、既に日本で他の会社で働いていた経験があったりする場合は、日本の習慣をある程度理解できている部分は大きなプラスとなり得ますが、逆に前職のルールが足かせとなって認識・意識の違いに働くことは大きなマイナスになり得ます。
改めて、前職の社内ルール、会社の考え方はどうであれ自社の考え方を基本的な領域から伝えなければなりません。既に在日の方は、なんとなく安心感があるため、この確認を忘れがちです。
休暇の考え方
外国人は母国の家族を大切にする傾向が強いです。休暇は家族とゆっくり過ごすことを好みます。コロナ禍によって、日本だけでなく世界的に働き方が見直され、同時にこれまでなかった働き方が浸透しつつあるのも事実です。
今後ますます働き方、休暇の取り方、雇用のあり方が多様化します。これをきっかけに日本人スタッフも含めて休暇のあり方を検討されるのもいいかもしれません。
待遇などの雇用条件(福利厚生などの有無、範囲も)
こちらは必須ですね
必要なスキル(業務上のスキル、コミュニケーション上のスキル)の有無
現時点でのスキルもそうですが、◯年後にはこうなってほしいなど具体的な物差しがあればなおいいです。また入社後必要なスキルの獲得が必須の場合はその旨を伝えなければなりません。
特に特定技能の場合は、対象業種の筆記試験さえ合格すれば資格が取得できますので、本当にその業種で働きたいかどうかも確認が必要です。
必要なスキルの習得に対して積極的かどうか
業務に取り組む上で欠かせないスキル技術などが、勤務時間外で習得してもらわないといけない場合などは、事前に話し合って「理由と目的」を共有し理解を求めることが必要です。
またその際会社が補助するなどバックアップする体制があれば、 大きなトラブルにならず進めることができるのではないかと考えます。
この場合、説明なしに良かれと思って教育の場を提供すると「なぜ勤務時間外で拘束をされなければいけないのか」と言った予期しない受け取り方で反発が起こる可能性があります。
成長してもらうためのステップの有無
会社として成長してもらうためのステップを伝えると同時に、本人がどう成長していきたいのかを聞いて、後にすり合わせできる状況にしておくことがいいです。
自分で考えて動かないといけない領域があるかどうか
人によっては指示の範囲内だけ業務に携わる、つまり与えられた指示以外のことは一切やらないという方もいます。日本人なら臨機応変に対応するのが普通と考えるのが一般的かと思われますが、そもそも臨機応変という言葉が通用しない育ってきた環境・文化の違いがあることを見据えなければなりません。 またこれは悪気があって対応しないわけではありません。国によっては指示以外のものは勝手に行ってはいけないといった考え方のもとで育った方もいます。その上で会社としての方向性を示唆しなければなりません。
いきごみ
入社すると、結果をだすことに意欲的な外国人材。そのため、特に自身が得意な領域や出来たことに対するアピールは積極的です。経営者としてはマンネリ化した社内の雰囲気の起爆剤に外国人雇用を考えてる方もいるかと思います。 また日本人にはない視点を求められていたり、様々な視点を持って外国人雇用を検討されているかと思います。ここでの懸念点としては、すでにいる日本人スタッフとの確執です。日本人は順序立てたり、人を立てたりすることを優先し自分のアピールは後回しにする文化で育ってきています。入社間もない人がどんどん前に出ることを良しとしない考えを持っている方も少なくはないです。何が正解で何が不正解というわけではありませんが、事前に自分をアピールする際は、どう対応するのか聞いておくのも、対象者の立ち居振る舞いを掴めるいいきっかけになるかもしれません。
本人の対応力
不測の事態に対して、どう考えるかまたどう対応するか。
例えば、突発的なトラブルに対して勤務時間外で対応せざるをえない状況が発生した場合、会社として従業員に求める行動を示唆しておくのがいいです。
取り組み方の違い
例えば、十分に検討してから動くのか、それとも動いてから問題修正をしながら進めていくのかといったようにそもそもの仕事への取り組み方、アプローチの仕方など根本的に違う場合がありますので、適正を見極めるのがいいです。その上で、細かな仕事の進め方など共有していくのがいいかと思います。
このように根本的に考え方・育ってきた環境が異なる人材を雇用することが外国人雇用です。大きなトラブルを未然に防ぐ方法は事前の認識と意識の共有が図れるかどうか。また入社後は密接な日々のコミュニケーションができる機会があるかどうかが大切になってきます。採用の限られた時間で人の本質を見抜くことは非常に難しいです。しかし、外国人雇用をする目的・人材に求める資質が明確であれば、採用のミスマッチを極力減らせることができると考えます。単に人手不足だから外国人雇用をする場合はミスマッチを誘発しやすい状況であると言えます。
今後「特定技能」の就労資格を持った外国人材を雇用する機会が増えることと思いますが、「技術・人文知識・国際業務」といった高度人材に比べると日本語力すなわちコミュニケーション力が数段低い人材を採用・面接することになります。
日本語での会話力が低いため通常の採用活動に比べると時間が多くかかることが想定されます。せめてここに挙げた項目を参照いただいた上で、企業独自のものさしを持って採用活動に取り組むことをお勧めします。
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