外国人雇用 内製化マニュアル(来日対応篇)

外国人雇用の内製化において、来日を伴う外国人材を雇用する際は、まず避けては通れない来日対応があります。

コロナ禍においては、空港へ到着後、検査結果が出るまで隔離待機状態が必要になる、公共交通機関の使用禁止などの空港到着後の行動規制がその時その時によって変動が生じます。細かな行動規制に関しては追いかけられませんので、ここでは来日対応に必要な行動概略と基本的な行動パターンとなります。

最後まで読んでいただくと、進行スケジュールの全体像を頭の中でシュミレーションしやすくりますので、是非自社内製化を検討される際は参考にしてください。そのうえで、コロナ禍による行動規制と照らし合わせて来日対応いただけましたらと思います。

 

   来日前

 

来日日時の確認

ここが決まらない限り、来日当日とそれ以降の予定が立てられないため、来日者と密接に連携が必要です。

 

到着空港・搭乗便の確認

来日当日の行き違いがないように、しっかり確認。

 

到着時の待ち合わせ場所の確認

空港内で在留カードを受け取ってから、到着口から出てきます。そのため、他の旅行者に比べて飛行機の到着時間からかなり時間が経ってから到着口から出てきます。行き違いがないよう現場の写真付きで待ち合わせ場所を事前に明確にしておくと安心です。

 

移動手段の選定

来日人数や、住居への移動距離・場所によって移動手段を選定しなければいけません。公共交通機関が発達している都市部以外の場合、空港から住居へは公共交通機関で容易に移動できたとしても、住居地近隣での手続き・同行などは不便なケースがあります。

コロナ禍の状況下では、公共交通機関が使えないなどのガイドラインが日々変化する中ですので、その時々に応じて対応しなければいけません。一度に多くの人数を迎え入れる「技能実習生」の監理組合などは、マイクロバスなどをチャーターして一括で移動したりしますが、少人数だと、大型の車種のレンタカーを借りることで、その後の関係各所への手続き移動が楽になります。

 

雇用契約内容の疑問点・不安点ないか会話

採用時に説明しているはずだが、聞いていない、理解できていないことが多いので改めて説明。説明すればするほど疑問点が出てくる傾向がほとんどです。採用時の面接では、あらかじめ容易している自己PRを聞く場合が多いですが、ここではじめて本当の日本語力を垣間見てショックをうけるケースもあります。また難しい専門用語もあるので、通訳を介して説明してあげると理解が深まります。

 

来日当日のスケジュールの共有

空港に到着してからは、ハードスケジュールになるため、事前の共有が不可欠です。

 

来日後のスケジュールの共有

来日後の大まかな手続きなどがある旨、概要を事前共有することで、来日者の不安が減ります。

 

母国内でのビザ手続き完了してるかどうかの確認

空港でビザを受け取る前に、母国で必要な手続きがあります。この手続きを忘れた場合は、悲惨な結果が待ち受けているので必ず確認してください。

 

持参荷物の量・中身に関して会話

日本人のように皆がスーツケースを持っている訳ではありません。段ボールに透明のテープをぐるぐる巻きにした荷物で来る方もいます。その場合、公共交通機関で移動するのは地獄です。事前に分かるとレンタカーなのか公共交通機関を利用したほうがいいのか判断が可能です。

 

日本の気候、生活マナーを軽くレクチャー

当然のように母国との気候の違いがあります。日本の気候や参考になる服装などを事前に生活マナーを交えて会話しておくと、来日後の生活オリエンテーションの理解促進に役立ちます。

 

住居の案内

来日前にすでに住居が決まっていると、決まっていないとでは時間と費用に雲泥の差が生じます。すでに住居が決まっている場合は、空港から住居に直行が可能です。また、住居設備に無いものを事前に準備しやすくなります。

 

住居が決まっている場合は、鍵の受け取り

事前に受け取っておくと、ただでさえバタバタする来日当日の時間の節約になります。

 

到着日にあわせた各種事前準備

・布団・カーテン

来日当日に必ず必要なものの代表として「布団・カーテン」などがあります。住居物件によっては、照明も必要になります。それ以外は最悪翌日以降に入手でも大丈夫です。通販などで事前に購入しておくと、スケジューリングに余裕がでます。

 

・電気・ガス・水道の開栓スケジューリング

万が一、飛行機が遅れる場合も想定して、最も遅い時間で予約しておくことが無難です。また開栓の際、当日現金で支払うケースがあるので、用意しておきましょう。

 

・印鑑

最近はどんどん使用する領域が減ってきていますが、ささやかなプレゼントとしての入社祝いでご用意してあげるのもいいかもしれませんね。印字はカタカナで大丈夫です。

 

生活必需品の購入リストの作成示唆

購入リストを共有することで、当日のスケジュール進行を効率的にするだけでなく、文化の違いを垣間見ることができ、日本での生活マナーについて会話するきっかけづくりにもなります。またその際、足りないものや金額感など教えてあげてください(当日持参する現金に関係してきます)。

 

持参する目安になる現金の示唆

来日後、現金を手にするタイミングは1ヶ月後の給料日です。その間の生活費や生活必需品の購入費用などを逆算して持参してくるよう伝えておかなければなりません。

 

到着時間によって、各種手続きを当日スケジュール化できるかどうかの判断

空港に午後到着になる場合は、来日当日は空港への出迎えだけでほぼほぼ終了してしまいます。そもそも「引っ越しは1日でやるものではない」ので、来日当日にできない手続きは、翌日以降にすることで余裕を持ったスケジューリングをオススメします。

 

搭乗したかどうかの直前連絡

来日前の最後の連絡となります。ちゃんと搭乗したかどうかの連絡が取れる間柄になっていましょう。

 

   来日当日

到着

現地採用した方であっても、来日当日の服装によっては、本人かどうか識別しにくい状況もあるかと思います。またテレビ会議で見る顔と実際の顔は違うものです。また体格などはわからないまま採用することも今後は増えてくるかもしれません。お互い迷子にならないようにウェルカムボードを用意しておけば安心です。

 

ビザ確認

ちゃんと就労ビザ(在留カード)を受け取ったかどうか確認しましょう!

 

日本円への換金

この後、買い物も控えているので、手っ取り早く済ませましょう。

 

転入届の申請

すでに住居が決まっている場合は、空港から直接役場へ向かうのもありです。ただし、役場や人数、時間帯によっては大変混雑し、思っている以上に時間がかかる場合があります。この際、会社に住民票の提出を求められている場合は、一緒に入手しておきましょう。

 

マイナンバー手続きの確認

同じく役場の窓口でマイナンバーの手続きをしてくれるので、指示に従いましょう。また、2、3週間後に、自宅に「個人番号通知書」が届くので、不在の場合は不在通知書を持って郵便局へ取りに行くよう指示をすると同時に、郵便ポストをチェックするよう教えてあげましょう。

その後の手続き方法は、こちら参照ください。

https://bit.ly/2WId18B

 

銀行口座の開設

金融機関によっては、N4レベルの外国人は日本語での対応が難しいことから、口座開設に難色を示す金融機関も増えています。本人の日本語力はもとより、雇用契約書の提出を求められたりするケースも増えているので事前に来店予約を入れることをオススメします。その際、持参物などを確認しましょう。

それでも断られるような場合は、会社のメインバンクの担当者経由で相談されると大丈夫かと思います。金融機関や担当者によっては、会社まで来て手続きしてくれるケースもあります。

 

生活必需品の購入(100円ショップ、ホームセンターなど)

お買い物は日本に初めて来る外国人ほど楽しみにしてます。ここは心を鬼にして、最低限必要なものだけの購入にとどめるよう引率しましょう。あとでいくらでも行けます。また事前に必要なものリストを作成しておくことをオススメします。

 

照明、洗濯機、冷蔵庫、炊飯器など電気製品の購入

家具付きの住居であれば、かなりスケジュールと金銭的にも余裕が生じます。家具付き住居でない場合、購入が必要です。レンタルの場合は、長い目で見ると割高になりがちです。外国人材の多くは、製品の質よりも値段を重視する傾向が高いので、場合によっては中古ショップでの購入が必要となる場合もあります。また大型電化製品の場合は、あらかじめ選定しておいて、配送の日時調整しておけば、のちのスケジュールに余裕が生じます。

 

郵便局で配達物が届くように申請

マイナンバーカードなどの申請物が自宅に届くため、忘れず申請しておきましょう。

 

住居の不備などないかチェック

入居時に、汚れや損傷があるかどうか必ずチェックしましょう。後日、不動産屋さんに提出するチェックシートは日本語ですので、N4レベルであれば解読不能のため、同行した際にチェックしてあげましょう!またひどい汚れや損傷がある場合は、日時がわかる状態で写真を撮っておくことで退去時に自分のせいにされない証拠を残しておきましょう。

 

simカードなどの手配

携帯電話契約に必要なクレジットカードは、来日したばかりの外国人には審査が通らないため、ほぼ持つことができません。クレジットカードが不要なsimカードなどを準備してあげましょう。また会社によっては、携帯電話自体を支給するケースもあるかと思いますので、それぞれの会社のガイドラインに沿って対応しましょう。

 

ゴミ捨て場、郵便ポストなど住居設備と近隣施設の案内

住居に併設している設備(ゴミ捨て場や郵便ポストなど)を一緒に確認してあげましょう。自転車を購入する予定がある場合は、自転車置き場も確認します。また買い物がてら、住居近くの病院や災害時の避難場所などを一通り案内してあげましょう。電車通勤の場合は、駅までの導線を教えてあげないといけません。

 

初出社日と時間の確認

来日初日から、手続きや確認事項など盛りだくさんなので、案内する日本人もそうですが、不慣れで日本語もままならない外国人材にとっては、情報量も多く体力的にも精神的にも疲れ果ててしまいます。

が、遊ぶために来日した訳ではないので、しっかりと初出社に関する情報も改めて共有しなければなりません。初日の出社日時と通勤にかかる時間を逆算して、自宅を出る時間を紙に書いて玄関に貼るなど目立つお知らせをしてあげましょう!

 

生活オリエンテーション

落ち着いてからじっくり腰を据えてオリエンテーションをしましょう!

 

 

このように来日前からの事前準備が、来日当日の進行を大きく左右します。来日当日においても、不可抗力(飛行機の延着)などによって、すべての予定が変更になる場合もあります。また大前提として、コロナ禍による入国時のガイドラインなどもでてくるため、その時のガイドラインに則って対応しなければなりません。

もちろん国内での対応組は、上記の対応が簡素化される部分がある上に、すでに日本在住である程度の知識・経験があるため対応が容易になります。今後増えることが想定される「特定技能」人材は、それほど期待された日本語力を持ち合わせていません。「技術・人文知識・国際業務」の就労ビザで日本語である程度会話ができる人材でも、いくら日本語が話せたとしても、日本の文化・習慣に精通しているわけではないので、丁寧な誘導が必要です。

仕事に取り掛かる前の生活基盤の構築は非常に大切です。生活基盤が構築できれば、その後の仕事、生活には日本語での会話力が大切です。会話力を鍛えれば、業務の効率がすすみ、さらに今後の人材採用・対応の内製化も格段に容易になります。同時に日本人の外国人材に対するコミュニケーション力も鍛えることで、早期離職や失踪などを防ぐきっかけづくりも社内で構築することが可能です。

来日対応が自社対応できたあとは、日本人と外国人双方のコミュニケーション力を磨くことが必要です。

 


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